日本フィルハーモニー交響楽団 第607回 東京定期演奏会
2009年1月16日(金) サントリーホール 19:00~
P席 2階 P3列 22番 2,000円
指 揮 : アレクサンドル・ラザレフ
ヴァイオリン : 漆原 朝子 *1
ヴィオラ : 今井 信子 *"
管弦楽 : 日本フィルハーモニー交響楽団
曲 目 :
プロコフィエフ : 交響曲 第1番 ニ長調≪古典≫
モーツァルト : 協奏交響曲 変ホ長調 K.364 *1,*2
プロコフィエフ : 交響曲 第7番 嬰へ短調≪青春≫
プロコフィエフの7番の交響曲は彼の最後の作品だが、65歳という作曲者としては高齢での作曲のためか、17歳年下のショスターコーヴィチの人気に対抗したためか、曲作りには苦労があったようである。当時の政治体制の影響もあって、初演まじかになって終曲を変更しているからである。静かに消え入るように終わる当初の終曲を、ボリューム満点の終曲に変更したのである。作曲作業としては簡単だったろうが、政治体制に動かされて編曲するにはかなりの苦痛であったろうと思われる。だが、その終曲のボリュームは、ショスタコーヴィチのそれとは比較にならぬほど、小さく多分に貧弱なものであった。さらには、1から3楽章までの流れからしても、突如としてボリュームが上がる感じでとってつけたような印象がしたのは、当方だけではあるまい。
どちらを演奏するかは指揮者の選択によるようだが、この日の指揮者ラザレフは、最初にオリジナルを演奏し、拍手喝さいを浴びた後で、編曲されたボリュームのある第4楽章を演奏してみせた。どちらがいいかは聴衆の選択に任せた形である。首席指揮者に就任して、日本で初めてこの曲を演奏するラザレフには、日本の聴衆にはどちらが受けるか読めなかったのだろう。2つのフィナーレによる、この日の拍手の大きさには特に差はなかったように思えるが、小生には静かで穏やかなフィナーレが、似合っているように思えた。